弊社の所有しているファイバーレーザーにはすべて、反射光抑制技術が搭載されています。
従来は、高反射材料(銅やアルミ等)に対し、加工ヘッドを傾けたり、反射光の検出レベルに対する設定を厳しくする事で、ワークからの反射光が発振器に影響を及ぼさないように対処してきました。
また反射光は発振状態を不安定にするため、加工にも影響を及ぼします。
しかし、この反射光抑制技術を搭載する事で、高反射材料に対し、直上照射が可能となり、且つ安定した加工を実現する事ができます。
従来は加工ヘッドを傾けなければいけなかったため、入射角度を一定にする必要があり、XYステージやロボットを用い、X・Y・Z軸で追従操作しなければいけませんでした。
しかし直上照射になると入射角度は一定なので、周辺機器の簡素化ができ、設備コストの削減に繋がります。また生産速度を向上させることにも成功した事例を持っており、スキャナー等を用いた工法に対しても安定した能力を発揮できます。
反射光抑制技術とは
光ファイバー中での非線形光学効果の一つである誘導ラマン散乱(SRS)を活用した「ラマンシフタ」と呼ばれるフジクラ独自の戻り光抑制機構の技術。
下記を実現するためには、ファイバーレーザーのコア径を小さくする必要がある。
- ビーム品質を良くする
- レンズで集光した際にスポット径を小さくする
一方、コア径を小さくするほど、コアを伝播するビームのパワー密度が大きくなるため、非線形現象であるSRS光の 割合が高くなる。
SRS光は、ファイバーレーザー発振器内のファイバーに戻り、逆方向に伝播することで、下記の不具合を発生する原因となる。
- 励起LDの故障
- レーザー出力の不安定性
SRS光の発生を抑制するためには、コアを伝播するビームのパワー密度を下げるため、コア径を大きくする必要がある。即ち、ビーム品質と、SRS光の発生の抑制は、トレードオフの関係にある。
特殊ファイバー技術により、コア径を他社製より大きくしながら、ビーム品質を他社とほぼ同等とすることを実現。
(特殊ファイバー以外にも、発振器に必要な要素技術を全て自社開発可能な日本製発振器メーカであるフジクラ製品で実現)
これにより、ビーム品質が良く、且つ反射耐性の高いファイバーレーザーを提供することが可能になった。
耐反射性を評価する際の主の要素であるSRS光の発生を、他社製と比較して、約1%に抑制できていることも確認する事ができた。
- 1.励起光源を壊さない
- 独自の光ファイバーや光ユニットの改良によって励起光源への反射光を抑制
- 2.安定した出力特性を維持
- 反射光の影響を受けない構造で、安定した出力を実現
上記の図を見て頂くと、反射光抑制技術搭載のファイバーレーザーは、反射光に対してレーザー光出力が安定している。
従来のファイバーレーザーは、反射光に対してレーザー光出力が変動している。
反射光抑制技術があることで、反射光の戻りによる発振器の不安定さがなくなり、加工が安定する。